漆器工房 鈴武

introduction

会津の中心地からすこし離れた場所に漆器工房鈴武はある。漆器に携わることそれは戦いだったのかもしれない、取材の中で彼らは何度も“本物の漆器”と口にした。約400年の歴史を持つ会津漆器、繁栄と衰退を経た中で置き去りにされた本物の漆器が宿すその意味と魅力に迫ります。

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その6 本物の漆器に宿る力

鈴武製 一汁三菜 重ねると…

鈴武製 一汁三菜 重ねると…

昔から漆器にまつわる言い伝えがあった。
漆器に入った料理や水は腐りにくく保存が効くなど、実際にお正月のお節料理等は漆塗りの重箱に保存されて何日にも渡って食していた。


それらは何気ない言い伝えだったが現代の科学をもってその抗菌効果は実証された。
京都漆器工芸協同組合のもと、大腸菌やMRSA、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌を100%天然漆(塗料塗膜)を塗ったプラスチックと抗菌塗膜の施されていないプラスチック上に放置した場合の1、2、4、6、24時間後の生菌数の測定実験を行い、100%天然漆は2時間後には腸炎ビブリオ、6時間後にはMRSA、24時間後には大腸菌とサルモネラ菌が完全になくなり、後者には大量の菌が残る結果となり、その抗菌性が科学的に証明されたのだ。


鈴武製 一汁三菜 コンパクトにまとまってしまう機能性の良さ

鈴武製 一汁三菜 コンパクトにまとまってしまう機能性の良さ

「本物の漆器」が日常生活にあったその昔。水は貴重なもので生活用水も衛生的に整備されていなかった時代、毎日食器を洗う事などできなかった、漆器のみを使用した一汁一菜の食卓で、食事の最後には飯碗に白湯を注ぎ飲み干し漬物で器を拭って食べ干し終りとしていた、そのような環境でも人は無事に生きていた。
漆器にそのような抗菌作用があるとはまだ解明されていなかったが、その時代の人々は経験則として言い伝えとして分かっていたのだ。


鈴武では「本物の漆器」の扱いに関して「洗ったら自然乾燥させて下さい」との説明が付け加えられる、洗い終わった後に布で拭いてしまっては別の菌が付着してしまう、そのままの乾燥させてしまえば自然と菌は死滅し「安全な食器」となる、食器を拭く手間いらず主婦の手間も省けますと。

投稿者: cool会津編集長