宮泉銘醸

introduction

“写楽”それは日本酒を愛好する者なら一度は呑んだことがあるだろう。今日本酒を特集した雑誌でもよく目にする美酒だ。天才と謳われた浮世絵師・東洲斎写楽の名を持つそれは、どの季節にあってもどのような環境にあっても洗練された美しい味わいを感じさせてくれる。洗練された美しさを感じさせる日本酒、それはどのようにして生まれるのだろうか。

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その1 写楽

その1-1会津若松鶴ヶ城の近くに宮泉銘醸はある、その蔵元から生まれる日本酒“写楽”
それは今日本酒を特集とした雑誌でもよく取り上げられている美酒だ。

「兄と弟の関係は捨てました、兄弟なんて思っていたら、やってられません」
そう話したのは“写楽”を造り上げた兄・宮森義弘さんの弟・宮森大和さん。
宮泉銘醸は今、社長である兄と彼の他同級生2人の若者達が中心となり酒造りをしている。

その1-2“写楽”について聞くにあたってその全ては彼の兄である宮森義弘の話しとなった。
“写楽”は約9年前に今は無き東山酒造から引き継いだ銘柄だが、引き継いだのはその名のみ、引き継ぐにあたり兄はその味を新しく造り上げることを条件とし、宮泉銘醸の“写楽”は兄・宮森義弘が求める美味い日本酒を目指し造り上げられている。
そして弟である彼自身が“写楽”に感銘を受けた者でもあり、“写楽”は彼の日本酒に対するイメージを変えたのだった、酒蔵に生まれ日本酒を身近に育った者が受ける感銘が“写楽”にはある。
宮泉銘醸に入って約1年半、蔵に入る前まで兄からは日本酒について一切語ることが許されなかった、それが1年半ほど前急に兄から勤めていた会社の就業規定を聞かれ、それから退職届を提出させられ今に至った。
「兄の生き方に惚れたんです」と彼は言う。

若くして宮泉銘醸を任されることとなった兄、歴史ある酒蔵であってもその受け継いだものは良いものばかりではなかったのだろう。
「両親と兄はとても仲が良いですが、造りに関しては両親からの口出しの一切を許しません。兄は宮泉の全てを否定するところから始めました」
時折印象の強い言葉を選び取る話しぶり、彼の兄に関する表現には宮泉銘醸というイメージを思っての誘導が含まれているのか、それとも別の思惑が働いているのか、彼が話す今の宮泉銘醸を造りあげた兄・宮森義弘は完璧すぎてどこか現実味に欠けていた。

投稿者: cool会津編集長