会津田島祇園祭

introduction

山々に囲まれひっそりと佇む南会津町。ここに日本三大祇園祭の一つ会津田島祇園祭がある。約800年の歴史を受け継ぎながらも人口が減ると共に祭りの規模は小さくなった、それでもこの祭りは地元の者によって毎年欠かさず行われている。地元の者にとって会津田島祇園祭とはどういう祭りなのかその魅力を探ります。

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その6 神と共に自然と共に生きる

IMG_2358自然の脅威や恵みあらゆる自然物に神の存在を見出した神道、その昔日本人の生活は自然と共にあり八百万の神々を近くに感じて生活していた。
夏を生き抜く事が困難だった時代は移り変わり、生き抜く事が当たり前となった今、時代の変化のスピード感が高まり、効率的な豊かさを求め、山を切り開き川と海を埋め、自然界にはなかった物を生み出した。
大量に生産される安価な豊かさは簡単に破棄されるのが日常になり、そうした果てに福島には原発がつくられたのだろう、そうして人間の叡知を集結して造られたそれらは多くの人々に豊かさをもたらした。

IMG_2442しかし福島の原発は自然の力の前に簡単に屈することになる。昔の人々はそれを神々の怒りだと捉えたかもしれない、しかし今そう考える人々は少なくなったのだろう、自然界にはない原子力の脅威に気づきながらも多くの人が効率的な豊かさを前に口を閉ざしている。
全てを見越した神が原発事故をその怒りだと表現したのかは誰にも分からない。
原発が非なるものなのか是なるものなのか、もしかしたら今人間が出す答えとは違う答えが何百年後には用意されているかもしれない、今この世界のあり方すらも全ては神のみ心を見出すその過程にすぎないのだろう。
しかし、もしそれが神の怒りだったとすれば、今神が福島のこの地に見せた答え、約800年に渡る祇園祭の祈りが南会津にもたらした答えはこの豊な自然なのかもしれない。

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南会津に残った豊な自然、深い山は清らかな水と空気を生み、それらは豊な土壌を育み力強い野菜や米、川魚、山菜を育て、豊かな山は天然のダムの役割を果たし土砂崩れや洪水から街や人間を守り、自然の移り変わりや恵みは人々の心を癒やし豊にし強くする。
また豊な山を育むためには山の手入れが必要になる、程よく伐採して木々を間引き、木々が太陽の恵みを十分に受けられるようにしなければならない、自然との共生が必要となる、もちろんそれは一人では難しく、それは人と人との繋がりを強くし、その繋がりがまた人を強くする。南会津の自然は脅威になることは少なく、むしろ様々な恩恵をもたらしてくれている。

IMG_2819こうした豊かさは今の大多数の人々が求める豊かさの優先順位の中では低いものなのかもしれない、そしてその恩恵を受けるためには長い時間と労力が必要となる、とても効率的とは言いがたい。それでもこの地の人々はその非効率的な豊かさをとても大切にしている。

この地が大きな近代化からのがれ、豊な自然が残ったのは神の導きなのか、約800年に及ぶ祇園祭の祈りは今豊かな恩恵をこの地にもたらしこの地の人々を守りつづける。この地に生きる者のルーツにはこの祭りの記憶がある、それは神と共に自然と共に生きた記憶だ、その祈りの記憶は今を生きる者とこの先に生きる子孫を守る祈りへと繋がっていく。

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投稿者: cool会津編集長