会津田島祇園祭

introduction

山々に囲まれひっそりと佇む南会津町。ここに日本三大祇園祭の一つ会津田島祇園祭がある。約800年の歴史を受け継ぎながらも人口が減ると共に祭りの規模は小さくなった、それでもこの祭りは地元の者によって毎年欠かさず行われている。地元の者にとって会津田島祇園祭とはどういう祭りなのかその魅力を探ります。

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その2 南会津の農村歌舞伎

会津田島祇園祭の見どころの1つに屋台子供歌舞伎がある。
例祭の22日と渡御祭の23日の2日間、祭りの山車の上で子ども達によって歌舞伎が上演される。

子ども歌舞伎練習

子ども歌舞伎練習

祭りの始まる3ヶ月前、稽古場からは幼く元気な声が聞こえてきた、先生の声に導かれて発せられる声は幼さが色濃く、歌舞伎のイメージとは程遠かった。
セリフの意味もその役の心情も含まない、まっさらな声が稽古場に響き渡る。
ここでは幼稚園生から高校生までさまざまな年代が混ざって練習に励んでいる、皆、会津田島祇園祭で屋台歌舞伎を観て憧れて入った子ども達だ。
台詞を覚え、大きな声を発し、動きを覚える、感情を交えるのはその後になる。
知る由もない時代の物語、台本に記されている台詞には今は使わない言葉ばかり、全ての意味を理解して演じるには多くの練習工程が必要になる。
彼らにその全てを教えるのは屋台歌舞伎保存会のメンバーだ。

入選「名場面熱演」

入選「名場面熱演」

江戸時代の農民の娯楽や祭事の奉納行事として農村歌舞伎は全国的に広まった。
南会津には檜枝岐で上演される檜枝岐歌舞伎とこの田島祇園祭屋台歌舞伎が根づき、田島祇園祭屋台歌舞伎は江戸時代末期より始まったとされている。
明治の初めごろまでは子ども達によって演じられていたが、子どもに化粧をさせて上演させる事への教育上の観点から一時は途絶えることとなり、それ以降は地元の青年達によって様々な形で受け継がれて来た。
平成4年の夏より子供歌舞伎の復活させる動きが始まり屋台歌舞伎保存会が設立となる、その2年後に田は島祇園祭で子供歌舞伎が復活上演された。
祭屋台4台の内3台でのみの上演となる時期もあったが、今では全ての祭屋台で上演されるようになった。
「この子たちが地元に就職して、歌舞伎を引き継いでもらえたら嬉しいです」
屋台歌舞伎保存会のメンバーは願う。

大人になるなど遠い先の子ども達が今、歌舞伎に魅了され目の前の上演に向けて稽古に励んでいる。

投稿者: cool会津編集長