野沢民芸

introduction

和紙などの自然素材のみを材料に、1つ1つに職人の手が入りその想いが込められ、会津の代表的な民芸品である起き上がり小法師や赤べこは出来上がる。それらは長い歳月を超えて会津の風土を宿し、1つ1つに込め続けた彼らの想いは今、玩具を通じて世界に広がっている。彼らが玩具に込めた想いを伺いました。

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その2 暮らしに寄り添う小法師

会津の伝統玩具・起き上がり小法師には何度倒しても起き上がることから「七転び八起き」の不屈の精神が込められている。
会津に古くから伝わる縁起物の伝統玩具であり、会津に暮らすものならば必ず手にした事のある玩具だ。

2011年の東日本大震災から2年後の2013年フランスで1つのプロジェクトが立ち上がった。主催者は世界的デザイナーKENZOこと高田賢三だ。
東日本大震災の復興を願い立ち上げられたこのプロジェクトは、会津の伝統玩具であり七転び八起き・あきらめない精神を持つ小法師に、絵付けを施しメッセージを添える事でフランスから福島へとエールを送ってくれている。
絵付けには映画俳優のジャン・レノやデザイナーのジャン・ポール・ゴルチエなど様々な分野の著名人も参加しその作品はオークションに出品され、その売上は福島原発の現場作業員のサポート費用などへと寄付されている。
2014年12月19日フランスで開催のオークショにおいて1人の日本人女性がスピーチに立った。
野沢民芸の早川さんだ、もちろん彼女の作品もオークションにも出品された。
「震災から私は、人は1人では生きていけない、支え合う大切さを学んだ」と彼女は話す、今もなお、フランス、その他ヨーロッパ各地から小法師を通じて福島への想いが届く。

「小法師のポリシーというか精神は正解に通じるんですよ、“がんばって”という思いは世界共通の誰にでも好まれる精神なんですね。」
彼女の造る小法師はにこやかに笑顔をつくり優しい雰囲気をまとっている。
「日々の暮らしの中、ふと気づくと日常の中に小法師がある、そしてその小法師を見るたびに“がんばって”と優しくささやく小法師の声を聴く、そんな風景が理想です」

早川さん

早川さん

今早川さんのところには民芸品とはかけ離れた人たちから依頼が来る。
FrancFranc、QVCなど、さまざまなところで小法師とのコラボ商品が生まれている、“起き上がりムンク” はスカンジナビア政府観光局からの依頼によって生まれた。
ムンクの “叫び” は過去に何度も盗難にあっているが、必ずムンク美術館に帰ってくる、“何度でも帰ってくる・ムンクの叫び”と“何度でも起き上がる小法師”それぞれに人は同じ想いを感じ取るのだろう。
その他にも円谷プロダクションとのコラボ商品“起き上がりウルトラマン”など、さまざまな姿をした小法師が早川さんの手の中から生まれている。
その一つ一つには必ず小法師の意味合いが書かれたメッセージが添えられて届けられる。

世界で愛される“七転び八起き”の精神、どんな姿をしていても小法師は必ず何度でも起き上がるのだ。

投稿者: cool会津編集長