会津酒造

introduction

深い山に抱かれた酒どころ南会津において会津酒造は一番古くから地元の人々に呑み親しまれてきた酒蔵だ。深い山は清らかな水と豊かな米を生み、長きに渡る歴史が人を鍛え美酒を生み出し続けた。今、会津酒造に新しい息吹が舞い込んでいる、若者達による酒造り。そこにかける想いを伺いました。

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その2 求めるままに、感じるままに“山の井”

山の井「ワインでも焼酎でもビールでも、他のアルコールには負けたくないです」
日本酒はまだ他のアルコール飲料に比べて手軽に飲める場所が少なく、質が悪くなってしまった時代の良くないイメージが拭えないのか敷居が高いようだ。
「皆がわいわいとテーブルを囲み、そんな中に日本酒の瓶があって、いつの間にか空になっている、そんな風に日本酒が身近なものになって、そんな中で自分の造った日本酒が飲まれているのが目標ですね」
南会津の人々に愛される蔵元で育った彼の理想は人の日常に近い日本酒のあり方だ。

4423会津酒造の特徴はその仕込み水にもある、蔵の中に湧き出る井戸水はドイツ硬度を基準とし、軟水が0から7、硬水が7以上という中で0.8と超軟水。
硬水にはミネラル分も多く、そのミネラルは酵母が活発に活動するのに必要な成分でもあるのだが、超軟水にはミネラルが少ない、そのため比較的緩やかに発酵が進み、硬水で作られた日本酒と比べると同じ度数でも口当たりの柔らかい飲みやすい日本酒に仕上がる。

4412“山の井”シリーズはこの軟水の特徴を生かした商品だ、ここに彼の挑戦がある。
自身があまり日本酒に強くなく、そんな彼自身が飲みたいと思う日本酒を作り出した。
超軟水の特徴を生かした丸みのある口当たりの優しい綺麗な日本酒。
彼が一番テンションが上がる時と話した造りが始まる前、どんな日本酒を造ろうかとイメージしている時、そんな時に一番イメージを膨らませているのはこの“山の井”シリーズなのかもしれない。
彼の成長と共に自身が飲みたいと思う美味い酒も変わり、季節商品も含め“山の井”シリーズは毎年違った“美味い”を見せてくれている。
そんな飲み手が受ける感動をよそに、また造りの時期が来れば彼はわくわくとそのイメージを膨らませているだろう、さて次はどんな日本酒“山の井”を造ろうかと。

4407“山の井”シリーズの裏ラベルには「感じるままに飲んで下さい」と一言添えられている。
例年の鑑評会について問うと「鑑評会は出品するからには全てトップを狙っていますが、その日本酒がそのまま飲み手には届きませんから鑑評会は自己満足ですね、もちろん鑑評会を目標とする事で技術が高まっているとも思います」答え、だけどと続けた。
「日本酒は賞を取ったとかそういうことではなく、自分に合った自分だけの日本酒を探してほしいです」そしてそれに応えるだけの懐の深さが日本酒にはあると続けた。
受賞歴などに左右されることなく、飲み手がその舌と身体と心で感じるままに飲んで欲しいと願い造った“山の井”、彼自身が日本酒の懐の深さの魅力にはまっているようだ。

4404南会津で一番古い蔵元から若者達の伸び伸びとした挑戦が続く、さて今年はどんな日本酒“山の井”を見せてくれるだろうか。

投稿者: cool会津編集長